手抜き工事の実態
手抜き工事の実態
外壁塗装工事をする上で気をつけたい事は、手抜き工事の実態です。
初めて工事を依頼する施工主からすると、工事の詳細についてわからないことは多々あります。
知識のなさから、業者の言われるがままに工事を進めてしまう方も多いと思います。
■外壁塗装における手抜き工事例
《 養生がしっかりできていない 》
外壁塗装の際に、塗料を付着させたくない窓やフード等、養生材で綺麗にしっかりと養生を行う事が鉄則となります。
丁寧に養生をすると費用も手間もかかってしまうので、適当な養生で外壁塗装工事を行おうとする業者がいます。
塗装の基本である養生も満足にできない適当な業者ですから、他の工程にも不安要素が懸念されます。
《 足場のシート養生をしない 》
足場を設置した際、足場に養生シートをかけることは鉄則となります。
足場養生シートの役割
- 施工部分以外に、塗料や洗浄作業時の水などが付着することを防ぐ
- 職人の作業の効率性を高める
- 作業道具等の落下を防ぐ
- 雨風などから建物を保護する
※シートにも種類がいくつかあり、建物や周辺の環境などによってシートの使い分けがされます。
そういった点を踏まえた上で、足場のシートを掛ける手間を省き利益を多く得ようとする業者がいます。
足場のシート養生をきちんと行わない業者は、塗装工事に時間をかけしっかりとした塗膜を作る考えをしない業者が多く、
施工後の外壁塗膜は精度の低い塗膜となってしまう事が多くあります。
《 足場を設置しない・簡易的な足場を設置する 》
外壁塗装の際、足場がしっかりと組まれている事で隅々まで塗装工事を行う事が出来ます。
足場代を節約する為に、足場を簡易的に組んでしまう業者がいます。
足場が簡易的なものだと建物の端や細部などをしっかり塗布する事が出来なくなってしまいます。
結果、所定の塗膜の厚みをキープ出来ず、塗膜本来の効果を発揮する事が難しくなってしまいます。
外壁塗装工事の際にしっかりとした足場を設置する業者は、隅から隅まで完璧な塗膜を作る事が可能となります。
《 塗料を勝手に安価な塗料に変える 》
原価を抑えるため、採用した塗料を使わず安価な塗料に変えて施工してしまう。
違う塗料を使っても、仕上がり状態では材料の差はわかりにくいのが現状です。
それを利用し、安価な塗料を勝手に採用するという非常識な手抜きのやり方です。
《 塗料の計量や希釈がおろそかである 》
塗料は種類により指定された配合があり、きちんと計量・配合しなければなりません。
中にはこのような対応をする業者もいます。
- きちんと計量をせずに適当に目分量で計量・配合して塗料を使う
- 必要以上に希釈をしてしまう事で本来の塗料の濃度を得る事が出来ず、薄い塗料を塗布してしまう
どちらのケースも塗料本来の性能の発揮は難しくなります。
《 薄く塗料を塗布する 》
塗料は各塗料により塗布する量が決まっており、既定の塗布量をキープする事で適切な塗膜の厚みを作る事が出来ます。
使用する塗料を減らす事で材料費や人件費を減らす事が出来る関係上、規定よりも薄く塗布する職人さんがいるようです。
薄く塗布してしまうと薄い塗膜しか出来上がりませんので、本来その塗料が発揮できる効果を得られません。
《 乾燥時間を守らない 》
塗装工事は湿式工法ですので、各工程間できちんと乾燥させた後に次の工程に移る事が鉄則となります。
塗装工程の際、各塗料により乾燥時間の間隔が決まっていますので、規定の乾燥時間以上に放置をしてしっかり乾燥したの
を見計らった後、次の塗装工程に移らなければなりません。
乾燥の間隔を守ろうとすると時間もかかってしまい、余計な手間がかかってしまう関係上、適度に乾燥した状態で次の工程に移ってしまう職人さんもいるようです。
乾燥時間の間隔をきちんと守らない場合、乾燥しきっていない塗膜に不具合が起きてしまい、膨れやヒビ、剥がれを生じてしまいます。
突貫工事などで急いで塗装工事を行った際、塗膜に様々な不具合が起きやすいのは乾燥時間を守っていない原因が大半です。
《 外壁洗浄を行わない 》
外壁の塗り替えの際は高圧洗浄等によりしっかりと洗浄する事が鉄則となります。
外壁には汚れやゴミなど、あらゆるものが付着しています。
外壁塗装に先立ち、それらを綺麗に取り除く事で塗膜の密着度を高めて精度の高い塗膜を作る事ができます。
しかし、丁寧に外壁洗浄を行おうとすると1日程度かかってしまい、とても大きな手間となってしまいます。
適当に洗浄作業をしたり洗浄作業自体省略してしまい、汚れが付着したまま塗装工程を行ってしまうケースも少なくないようです。
《 下地処理が適当もしくはしない 》
外壁塗装における下地処理とは、外壁素材の表面を綺麗に清掃したり滑らかにする事で、塗装自体が乗りやすい状態とする事です。
下地処理を行わなければ、塗膜の密着度が低くなってしまい、本来塗膜の持つ性能が保たれなくなってしまいます。
下地処理の有無は塗膜が完成した際には、表面上には見えない事もあります。
「上から塗料を塗ればどうせバレないだろう」という前提で下地処理の手を抜いてしまう事もあるようです。
また、表面を滑らかにしない事で、塗膜の平滑を発揮出来なく、見た目の精度が悪くなってしまう事もあります。
《 既存外壁の不具合の補修をきちんと行わない 》
外壁塗装の塗り替えの際、既存外壁の不具合を修繕した後に新規塗装工事へと進みます。
クラック等の既存外壁に発生している不具合を放置したまま新規塗膜を乗せても、既存外壁の不具合部分の影響で劣化が早まり、万度な塗膜を保つ事ができなくなってしまいます。
手厚く不具合部分の補修をすると費用も手間もかかってしまう為、適当に補修をして新規塗装工事を行ってしまうケースも多くあるようです。
既存外壁の不具合部分の補修をきちんとしなければ塗膜・外壁は長持ちしませんので、外壁塗装の塗り替えの際には非常に重要なポイントとなります。
《 塗装工程の回数を勝手に減らす 》
塗装工程というのは、各塗料により回数が決まっており、通常ですと下塗り1回、塗装工程(中塗り及び上塗り)が2回の合計3回塗りとなります。
塗装工程の回数を増やす事で材料も手間もかかってしまいますので、塗装回数を減らし利益を上げようと考える業者もあるようです。
各塗料ごとに定められた塗装回数を減らして塗装工程を行ってしまうと、塗膜が薄くなってしまいますので、短期間で劣化する塗膜となってしまい、せっかくの塗装も台無しとなってしまいます。
《 雨が降ったり悪天候であっても工事を続行する 》
塗装工事は降雨時や湿度85%以上の場合、塗装作業ができません。
しかし、職人さんの都合で急いで塗装工事を行いたいが為に、多少の雨や湿度が高くても外壁塗装工事を続けてしまうことがあります。
塗料や塗布する素材に雨が当たって無ければ良いだろうと思う職人さんもいるようですが、湿度の関係上で塗料や下地に必ず影響を与えてしまいます。
余計な水分を含んでしまう事で塗膜の精度や付着力を弱めてしまいますので、良質な塗膜とはなりません。
雨が降り始めたり前もって悪天候とわかっている場合は、外部の塗装工事は行ってはいけません。
優秀な職人さんでしたら承知している事なのですが、急いでいる・手抜きで利益を得ようとしている職人さんの場合雨や湿度を気にせず平気で塗装工事を行ってしまいます。
■手抜き工事が行われてしまう原因とは
《 下請けに出して不十分な塗装工事となってしまう 》
塗装工事に手抜きが発生してしまう大半のケースは、請け負った業者が下請けに出してしまうことに原因があります。
請負いで塗装工事を引き受けている下請け業者は、一山いくらで工事を元請けから請け負っているので、少ない請負金額の中で利益を出さなければなりません。
利益を多く捻出する為には手抜きをしてでも早く終わらせ、材料の節約もしたいという考えになってしまうようです。
この背景には、元請け業者が多くの手数料を天引きして下請けに回しているので、下請け業者は少ない請負金額の中で塗装工事を行わなければいけないのが要因となっています。
業者の選定さえ間違わなければ、手抜き工事をされる事を防ぐ事が出来るという事になります。
《 塗装工事の手抜きはわかりにくい 》
塗装工事の工程は細かく塗り重ねていく作業ですので、一般の依頼者にはわかりにくい工程内容となります。
手抜き工事でも、きちんとした工程で塗布した工事でも、施工後の状態の見た目には差がなく不具合を特定することは難しいのが現状です。
その為、外壁塗装工事は知らない間に手抜きが簡単に出来てしまうのです。
ですが、手抜きの影響は数年後に発生し始めます。
塗布後1~3年後にこのような損害が発生したら、手抜きが行われてしまった証拠となります。
- 光沢の低下
- 塗膜のヒビや浮きの発生
- 塗膜に汚れが付きやすい
- 塗膜の剥がれ
これらは、塗布後1~3年では絶対に起きない現象です。
その為、残念ながら明らかな手抜き工事が行われた証拠となってしまいます。
手抜きをされてしまった塗膜は耐用年数が激減してしまいますので、短い期間であらゆる塗膜の劣化が始まります。
その時になって、手抜き工事をされた事に気が付くのでは遅いのです。
■業者選びは慎重に
★ 業者選びのポイント
- 地元の信頼できる業者に塗装工事を依頼する(認知度・評判がわかりやすい。何かあればすぐに駆けつけられる。)
- 作業工程についてしっかりと説明があり、アフターフォローも抜かりない。
- 塗装1級技能士を持っている職人さんが在籍する業者。
- お得な話には裏があることが多いといった認識を持っておくことが大事。
手抜き工事の被害を受けないためにも、外壁塗装を依頼する際には信頼のおける業者選びをすることが大事です。