マンション管理組合について

現在、国内のマンションに住む人は約1,530万人。日本の人口の1割を超え、さらに増加傾向にあります。

設備や立地条件・生活スタイルなどの変化によって、戸建て住宅にはない特徴を持つ物件が増え、マンションに住むメリットが大きくなったことがマンション人気の一因となっています。

しかし、住む人口が増えればトラブルが起こるリスクも増加します。そこで法律上義務付けられたのが、マンションごとの「管理組合」の設置です。

分譲マンションを購入すると、住人はマンション管理の当事者となります。

【マンション管理組合とは】

◆ 管理組合はマンション購入者全員で結成される組織

管理組合とはマンションの区分所有者全員で組織されており、マンション管理や方針を決定する主体的役割を担っています。

管理組合は各区分所有者から毎月管理費と修繕積立金を徴収し積み立てたお金でマンションの維持管理・住人のルール作りを行い、所有者全員がマンションの資産価値を維持するための活動を行います。

管理組合には、代表としてマンションの維持管理を進める理事会があり、マンションの管理は理事会で話し合いながら進めていくことになります。

理事会は、理事長・副理事長・監事などの役割が選任されて組織が形成されています。

ただ、一口に「マンションの管理」といっても、内容は多岐にわたり、日常的に行う共用部の清掃や設備の保守点検、管理員の窓口業務などのほかにも、運営上の会計処理や大規模修繕の計画など、専門的な知識が必要なものも多くあります。

そこで、一般的には、管理組合がマンションの維持管理を専門に行う業者である「管理会社」に管理業務を委託して、管理業務を行っているというわけです。

中には管理組合が管理員を直接雇用するなどして、自主管理を行うケースもあり、必ずしも管理会社に管理業務を委託しなければならないというものでもありません。

 

【管理会社】

◆ 管理会社は管理を請け負う専門業者

「管理会社」は管理組合が決定したマンションの管理方針に従って必要な業務を請負う会社です。

管理業務には全面委託と一部委託があり、事務管理業務、管理人業務、清掃業務、建物設備管理業務があります。

これら業務を全面的に委託するか、一部を委託するかは管理組合が決定することになり、管理会社は区分所有者から支払われる管理費を原資として、全面委託しているときには全ての業務を、一部の場合には一部の業務を遂行します。

管理組合と管理会社の関係
管理組合と管理会社の関係性は実際どのようになっているのでしょうか。

新築マンションを購入された経験のある人は、管理会社が既に決まっていることも多いのではないかと思います。そのため、あまり業務を委託しているという意識は薄いかもしれませんが、本来の関係とは管理組合が管理費を支払う顧客であり、管理会社が提供するサービスや業務を購入するという関係にあります。

管理組合を形成している区分所有者は建築やマンション管理全般に詳しい人は少ない可能性が高く、普段は自分の仕事などもあるために、管理会社に対して顧客であるという認識は少ないかもしれません。
管理会社にとって、管理組合が活動に無関心であると提案なども積極的には行わなくなる可能性があります。

立場は違いますが、管理組合が主となり積極的に活動・勉強していくことがお互いの関係を良好に保つ大切なポイントのひとつとなるでしょう。

 

【マンション管理組合の組織について】

マンション管理組合は通常、下図のような組織となっています。

総会のルールは法律によって明記されており、マンションの管理において総会を無視することはできません。

区分所有法では総会において何を決議すべきかについても定められており、規約の変更、理事の選任・解任、共有部分の管理に関わる事項など、マンション管理に関することは、原則として総会で決議されなければなりません。もちろん、管理会社の変更も総会議案となります。

 

主な役員

役割・選出方法・任期

理事長 〈役割〉理事長=管理組合の代表

業務執行機関である理事会の代表者として、管理規約ならびに総会決議に従って業務を遂行する。
通常、理事長は同時に区分所有法で定める「管理者」となり、対外的には区分所有者を「代理」し、対内的には民法の「委任」に関する規定が準用されます。
理事長の仕事は幅広く、その権限と責任も大きなものです。

  • 共用部分、敷地、附属施設などの維持保存にあたる
  • 総会を招集し、議長をつとめる
  • 総会の議事録を作成する
  • 理事会を運営して実務にあたる
  • 管理会社と委託契約を結ぶ
  • 各種業者と請負契約を結ぶ
  • 管理費滞納者に対して督促を行う
  • ルール違反を行った組合員(占有者等)に対する措置を行う
  • 管理規約や議事録の保管、利害関係人などからの請求があった場合の閲覧 など

〈選出方法・任期〉理事の中から選出・任期は規約の定めによるが、一般的には1年

業務執行機関である理事会の代表者として、管理規約ならびに総会決議に従って業務を遂行します。
通常、理事長は同時に区分所有法で定める「管理者」となり、対外的には区分所有者を「代理」し、対内的には民法の「委任」に関する規定が準用されます。

副理事長 〈役割〉理事長の補佐・理事長不在時の代行

〈選出方法・任期〉理事の中から選出・任期は規約の定めによるが、一般的には1年

理事 〈役割〉書記・広報・会計・総務・営繕・建築設備・駐車場・駐輪場・防災防犯など、各マンションの状況にあわせて担当理事を選任

〈選出方法・任期〉輪番方式と推薦方式(自薦および他薦)の2つの方法が考えられますが、どちらにも長所・短所があるため、それぞれの管理組合の実状にあわせて選出。2つの方式を併用するという方法もある。

◇ 輪番方式
メリット:すべての組合員が理事を経験することにより、管理組合の仕事に対する関心が高まる。
デメリット:経験者や専門家が少ないため、業務の流れが中断したり、トラブル対応に時間がかかったり、運営に支障をきたす可能性がある。
◇ 推薦方式
メリット:自薦の場合、管理組合の運営に意欲を持って取り組む人材を選出できる。他薦の場合、財務や建築などの専門家を選出できる。
デメリット:他薦の場合、選ばれる側に不満が残る場合がある。また、同一人が何度も選ばれることによる弊害が心配される。
任期は1年が一般的。ただし、任期2年とし業務の引き継ぎをスムーズにするため、1年ごとに半数を改選する場合もある。

監事 〈役割〉管理組合の業務の執行、財産の状況を監査し、公正で効率的な組織の運営を維持するための役割

会で選任され、理事会からは独立した存在である。
監査結果を総会に報告する。
理事会が総会に提出する決算報告書には、監事が監査結果を記入して、押印する必要がある。
理事会に出席して意見を述べることができるが、議決に加わることはできない。

管理組合の業務の遂行および財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。

〈選出方法・任期〉

理事会運営についての知識や経験が求められるため、過去に理事を経験した人の中から選出されることが多い。
通常1名を選出するが、大規模物件や団地または複合用途物件では複数選任される場合もある。

 

委員 〈役割〉大規模修繕工事や施設改善工事などを行う場合には、理事会の中に専門の委員会を設置して実務を行うことがある。

委員会は複数の理事と、総会において全組合員の中から選出された委員によって構成される。

・理事を複数とするのは、改選によって理事が交代した場合にも、委員会から理事がいなくなることを防ぐため。
・委員には、委員会のテーマに応じて、専門的な知識を持った組合員(修繕の場合には建築関係の仕事に携わっている方など)や、
それぞれのテーマに関心の高い組合員を選出する。

任期は委員会の全業務が終了するまでだが、大規模修繕工事などのように長期間にわたる場合には、任期を定める場合もある。

理事会役員以外もマンション管理は他人ごとではありません。

理事会の役員以外の区分所有者が、マンション管理について蚊帳の外かと言われると、そんなことはないのです。

管理組合では、毎年1回必ず招集される定期総会のほかに、必要に応じて随時招集される臨時総会があります。

総会は管理組合の最高の意思決定機関であり、総会には議決権総数の半数以上を有する組合員が出席(委任状等の書面提出や代理人の出席も含む)しなければならないと定められています。

理事会役員ではない区分所有者を無視して、理事会が勝手に物事を進めることはできないのです。

 

【マンション管理士】

管理の主導権は自分たちが握るべきものだという意識から、マンション管理士とコンサルタント契約を結ぶ分譲マンションもあります。

マンション管理士とは、マンションの維持・管理に関するコンサルティング業務を手がけます。

マンションの管理組合や区分所有権者が直面するトラブルを解決する専門家として、「マンション管理士試験」の合格とその後の登録が求められる国家資格が必要です。

法律などの専門知識が必要となる点、国家資格を有する点で「マンションの管理人」とは全く異なるものです。

マンション管理士の業務内容
・マンションごとの管理組合担当者に「会計処理の方法」「運営コストの削減」といった組織の運営方法から「建物の修繕が必要になった場合の工事会社の選定」のような事柄まで、幅広くアドバイスする。※マンション管理組合は専門知識を持たない一般住民が担っている場合が多いため
・自治体が主催するセミナーでの講演や相談会に出席
・マンション管理に関するアドバイザー制度を設けている自治体でアドバイザーに就任して活動する

 

マンションごとに多少ルールは異なる部分もありますが、マンションの維持・管理は、区分所有者一人一人が大なり小なり関わらなければいけないことです。

それぞれが責任をもって主体的に取り組んでいくことで、マンションの住み心地向上へとつながっていくのではないでしょうか。


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